SQLインジェクションとは
インターネットの世界では、入力欄に打ち込まれた文字が、そのまま裏側のデータベースを操作する命令に混ざってしまうことがあります。これが「SQLインジェクション」です。たとえばログイン画面で、本来は「ユーザー名」と「パスワード」を照合するだけのはずが、悪意のある文字列を入れられると、条件式が書き換わり、誰でも通れてしまう抜け道が生まれることがあります。典型的には ' OR '1'='1
のような文字列が有名で、適切に防御していないシステムでは、これだけで認証をすり抜ける事態が起きかねません。根っこにあるのは、入力された文字をそのままSQL文に連結してしまう実装のまずさで、さらにデータベース側に強い権限を持った接続ユーザーを使っていると、被害が一気に拡大します。
ウェブサイトの入力欄(検索ボックスやログインフォームなど)に入れた文字が、そのままデータベースへの命令文(SQL)に紛れ込んでしまい、本来想定していない操作まで実行されてしまうことを指します。
たとえば、ログイン画面で本来は「名前」と「パスワード」を確認するだけなのに、悪意ある入力によって「会員一覧を丸ごと取り出す」命令に書き換えられてしまう…といったイメージです。
どんな被害が出るの?
個人情報の流出 | 会員名簿、住所、メール、注文履歴などが抜き取られる |
データの改ざん | 価格変更、在庫数の改変、不正注文の誘発 |
サービス停止・サイト改ざん | データ削除やレイアウト破壊で営業に影響 |
踏み台化 | 奪った情報を使い、他の社内システムへ侵入が広がる |
対応コストの増大 | 法令対応、通知・お詫び、調査・復旧、信頼低下 |
SQLインジェクション対策
・パラメータ化(プリペアドステートメント)
最重要の基本対策です。
「SQLの形」と「ユーザー入力(値)」を物理的に分けて扱うことで、どんな入力でも“あくまで値”として処理し、命令文に化けるのを防ぎます。
※技術的にはフレームワークやORMの標準機能を使うのが近道です(例:Laravel/Eloquent、Django ORM、Rails Active Record など)。
・入力制限・エラーメッセージの扱い
文字種・最大長・数値/日付など入力項目に制限をかけ、失敗時の画面には詳しいエラーを出さないのが重要です。
よく混同される「XSS(クロスサイトスクリプティング)」の対策
ところで、SQLインジェクションと混同されがちな言葉として「クロスサイトスクリプティング(XSS)」があります。こちらはデータベースではなく、利用者のブラウザを狙う攻撃で、Webページに悪意あるスクリプトを実行させ、セッション情報を盗んだり、なりすましを引き起こしたりします。
比較 | SQLインジェクション | XSS |
標的 | データベース | 利用者のブラウザ |
主なリスク | 情報流出・改ざん | セッション乗っ取り・なりすまし |
主な原因 | 入力をSQLに連結 | 未エスケープのままHTMLに出力 |
基本対策 | パラメータ化 | 出力エスケープ+CSP |
防ぎ方はSQLインジェクションとは別で、画面に出す文字列を適切にエスケープすること(< や ” など記号を安全な表現に変換すること)、テンプレートエンジンの自動エスケープを有効にすること、CSP(Content Security Policy)でインラインスクリプトや外部読み込み先を制限すること、そしてCookieにHttpOnly・Secure・SameSiteといった属性を付けることが柱になります。フロント側の実装では、innerHTMLのように任意のHTMLをそのまま差し込む操作を安易に使わず、textContentを基本に据えるなど、日常のコーディング習慣で事故を減らせます。
まとめ
結局のところ、SQLインジェクションは“人為的に避けられる不具合”です。パラメータ化を徹底し、データベース権限を絞り、詳細エラーを外に出さず、定期的な脆弱性診断とログ監視で異常を検出する。これらを平時から当たり前の作法として回していれば、致命的な事故の多くは発生しません。委託や発注の立場であっても、「すべてのデータ操作はパラメータ化されていますか」「本番データベースの権限は最小ですか」「XSS対策として出力エスケープとCSPは有効ですか」といった基本的な質問を投げかけるだけで、品質の底上げに十分な効果があります。