リアル「国宝」見てきた!

先週、平日に休みがとれたので、いただきもののチケットを持って「静嘉堂の重文・国宝・未来の国宝」という美術展に行ってきました。

行き先は「静嘉堂文庫」という美術館。丸の内仲通りの近代的なビルの中に保存された、石造りの明治生命館の中にあります。丸の内にはこういう造りのビルがいくつかありますね。どのビルも、出入りするだけで異空間を体験できて楽しいです。今回は重要文化財と国宝を見に行ったわけですが、この明治生命館自体も重要文化財であるとあとで知りました。

明治生命館

セイカドウブンコとは

静嘉堂って何?なぜ「文庫」なの?という疑問に応えるコーナーも館内にありました。もともとは三菱財閥の創業家として有名な岩崎家の創設した図書館だったようです。そこに岩崎家が所有していた美術品が加わり、美術館も併せ持つようになった、というような経緯でした。

静嘉堂文庫

国宝「曜変天目」とご対面

美術館としてはコンパクトな静嘉堂ですが、重要文化財もそうでないものも、展示はどれもすばらしく満足感いっぱいです。

展示室
こちらは「重要美術品」で江戸時代の能の教本箱、といったもの。

順路通りに進んだ先の最後の展示室に、国宝はありました。
小さな展示室の中央に据えられた、透明なケースに収まるそれは、女性の両手におさまるようなサイズのはかない茶碗でした。外側は黒く、内側に細胞分裂を思わせるような玉虫色の柄が広がり、小宇宙のようなその茶碗の内側にみな吸い寄せられるため、隣の人と額がごつんとなりそうでした!

曜変天目茶碗イメージ
こちらはAIが作成した曜変天目イメージ
(現地では撮影不可でしたがほぼこんな感じです)

世界に3つしかない曜変天目

曜変天目は12世紀〜13世紀の中国、福建省にある建窯という窯で焼かれました。独特の柄が特徴ですが、これが偶然の産物で、意図的な再現は困難を極めるのだそうです。そのため非常に希少となり、現存する曜変天目茶碗は世界にたった3つ。しかもその3つがすべて日本にあり、いずれも国宝に指定されているとのことです。

国宝=日本国内の作品とは限らない

この日、見られた国宝は曜変天目以外に2点。

伝 馬遠 「風雨山水図」
趙孟頫 「与中峰明本尺牘」

両者とも13世紀から14世紀、南宋時代から元時代にかけて制作された山水画です。ここであれ?みんな中国の作品・・?となりました。

国宝とはそういうものみたいです。今年は映画の「国宝」に湧いた年でしたが(映画も見ましたが)、人間国宝が基本的に日本人なのに対し、有形の国宝は国外の作品も含まれるのだそうです。

感想・まとめ

国宝も、重要文化財もそれ以外の作品もとてつもなく古いはずなのに、古さを感じない、不思議な魅力を放つ展示の数々でした。中国の作品も、それに影響を受けた日本画作品もあり、両者を大事にあつめて保存してきた先人たちに感謝です。
静嘉堂文庫には1時間弱の滞在でしたが、文化芸術を通じて大陸に強く惹かれ憧れきた日本の歴史にも思いを馳せる、貴重な体験となりました!

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