ワニは、大学の卒業研究のテーマにする程度には造形的に好きな生き物です。
学生の頃は、上野動物園の爬虫類館へスケッチ目的で足を運ぶこともありました。
今回、そんなワニにフィーチャーした企画展が開催されていると知り、これは行かねばと思い、国立科学博物館で開催中の「ワニ」展を観てきました。
展示内容はかなり充実しており、個人的には多くの標本を一度に見られたのがとても嬉しかったです。
骨格標本をはじめ、皮革標本、剥製標本(たくさん)、液浸標本まで幅広く展示されていて、ここまで揃っている展示はなかなか珍しいのではないでしょうか。
特に剥製標本は、実際のサイズ感が直感的にわかるのが面白いです。
一方で、個人的に一番好きなのは液浸標本です。
液浸標本は内臓や筋組織といった軟組織まで含めて保存されているため、生物としての生々しさを観察できるところに魅力を感じます。
余談ですが、以前同館で展示されていたイエネコの胎盤の液浸標本では、胎児の段階でもきちんと猫の姿をしていて、「猫って胎児の頃から猫でかわいい〜」と思った記憶があります。
そういった意味でも、液浸標本は非常に優れた保存技術だと改めて感じました。
展示では、標本の作成方法についての解説もありました。
あの硬そうなワニの皮膚をどのように解体しているのかはこれまで知らなかったのですが、通常の切れ味の良いメスを使って作業していると知り、少し意外に感じました。
また、野外でのモニタリング調査では注射針を刺してDNA採取を行うこともあるそうで、その点も驚きでした。
造形的な魅力だけでなく、機能的な身体構造や内臓についても詳しく解説されており、とても興味深い展示でした。
例えば、喉に蓋をして水の侵入を防ぐ舌基弁や、水面に出して呼吸ができる外鼻孔など、ワニの身体がいかに合理的にできているかがよくわかります。
ワニは白亜紀の頃からほとんど姿を変えずに生き続けている生き物ですが、その理由が身体構造からもしっかり理解できる、非常によくまとまった展示だと感じました。
単純にワニが好きなので観ていて楽しかったですし、まだ知らないことも多く、改めて学びの多い展示でした。
「知るほど、ハマる」という本展のキャッチコピーは、まさにワニの魅力を的確に表している言葉だと思います。
思わずこういうキャッチコピーを作れるようになりたいな、と感じさせられる展示でした。





