Takaです。前回は、従来のデータセンターとAI向けのデータセンターとの違いを整理しましたが、今回は、AI向けのデータセンターの投資状況について整理したいと思います。
前回記事:→ AI投資の中心「データセンター」って何?
◆AIデータセンターに求められるリソース
前回の記事の通り、AIデータセンターは、以下のようなリソースを求められます。
1、AI特有の膨大な計算リソースを満たすための高性能なGPUやTPUが、データセンター1つで、数万個単位で必要とされる。NVIDIAのGPUは、1つ500万という高額です。
2、高性能機器の消費電力は膨大であるため、従来のデータセンターよりも遥かに大きく効率的な配電システムが必要です。データセンター1つで、原子力発電所が1つ必要とも言われています。
3、サーバーラックの電力密度が非常に高く高温になるため、従来型の空冷だけでは冷却が追いつきません。そのため、「液浸冷却」などの最先端の冷却技術や大量の水資源が必要になります。
4、多数のGPUサーバー間で膨大なデータを効率的にやり取りするため、高速かつ大容量の高速ネットワークが必要となります。
上記のように、求められるリソースが高度で膨大であるため、膨大な投資が必要となります。
◆AIデータセンターの投資額は?
<AIデータセンターへの投資>
1つのAIデータセンターの建設には、数千億~数兆円という膨大な投資が必要とも言われています。
また、1つのAIデータセンターの年間運営費は、電気代、冷却コスト、ハードウェアの更新費用、人件費などで、約1,500億円以上必要と言われています。
<発電所への投資と建設にかかる時間は?>
AIデータセンター1拠点(100MW想定)を支えるための専用発電インフラには、再生可能エネルギー中心でも数百億円、原子力や高度なエネルギー管理システム(マイクログリッド)を含めると数千億円規模の建設費が見込まるそうです。
また、AIデータセンター向けの発電所を建設するのに必要な期間は、発電方式や規模によって大きく異なるようですが、従来の大型原子力であれば建設に10年以上の時間が必要となります。
いずれにしてもデータセンター自体の建設(約1年〜3年)と比較して、電力インフラの整備にはより長い時間がかかるのは確実です。
◆AIデータセンターの建設計画は?
2025年現在、AIの需要急増に伴い、国内外で前例のない規模のデータセンター建設計画が進行しています。特に100MWを超える「ハイパースケール型」や、最新のGPU(NVIDIA GB200等)を搭載した「AI専用拠点」の建設が加速しています。
<アメリカのデータセンター建設計画>
AIの中心アメリカでは、Stargate(スターゲート)計画を発表しています。
Microsoft、OpenAI、SoftBank、Oracleが共同で進める約1,000億ドル(約15兆円超)の投資計画です。
2025年9月には、テキサスやニューメキシコなど米国内5拠点での追加拡大が発表され、合計容量は7GWに達する見込みです。
Amazon(オハイオ州): 米国オハイオ州サンベリーに20億ドルのデータセンターを建設中です。
<日本のデータセンター建設計画>
日本国内では、政府の支援を受けた大手通信キャリアが大規模な拠点整備を計画しています。
ソフトバンクは、北海道(苫小牧市): 2025年4月に着工。国内最大級(300MW超を計画、第1期は50MW)のAIデータセンターを2026年度に稼働予定です。
KDDIは、大阪(堺市): 2025年10月の発表によると、2026年1月下旬に稼働を開始し、NVIDIA GB200を搭載したインフラを提供予定です。
上記のように、世界中で膨大な時間と投資を必要とするAIデータセンター建設が動き始めています。
この人類の未来を変える大きな計画は、本当に実現可能なのでしょうか?
次回は、投資と採算面を整理してみたいと思います。





