Takaです。前回は、トランプ関税の背景にあるアメリカの財務危機やトランプ関税の目的ついて記載しましたが、その直後4月2日、アメリカから全世界に向けて衝撃的な相互関税の発表がありました。
時系列に経緯を追ってみたいと思います。
■トランプ政権が世界に提示した衝撃的な相互関税率
4月2日にトランプ政権が主要国に提示した衝撃的な相互関税率の関税率は以下での通りです。
中国34%(+20)、台湾32%、韓国25%、EU26カ国20%、イギリス10%、オーストラリア10%、ベトナム46%、タイ36%、インドネシア32%、スイス31%、南アフリカ30%、インド26%、マレーシア24%、イスラエル17%、フィリピン17%、ブラジル10%、シンガポール10%、トルコ10%・・・。
既に、アメリカへの輸出が多い、中国、カナダ、メキシコへの関税(25%)は、発表済みでした。
■アメリカ・中国の報復合戦
中国は、アメリカの一方的な関税率が発表されると、アメリカへの報復関税を発表し、
その後互いに報復合戦を繰り返し、中国のアメリカへの追加関税は、125%に、アメリカから中国への関税は、145%に達しました。
世界1位と2位の経済大国が互いに100%以上の追加関税を掛け合う異例の事態は世界経済に深刻な影響を与えることが予想されます。
■トランプの相互関税の衝撃
トランプ政権が主要国に提示した衝撃的な相互関税率の発表を受けて、世界中の株価が急落しました。
日経平均株価は、発表後の1週間で、3,339円(マイナス9.0%)安の3万3,780円となりました。
ナスダック総合指数はマイナス10.0%、S&P500種指数はマイナス9.1%と大幅に下落しました。
週明け7日のヨーロッパの株式市場も中国が対抗措置として追加関税を発表したことで、世界経済が後退に陥るリスクが高まるという懸念から株価が大幅に下落しています。
■トランプの相互関税の想定外の反作用
関税発表後のアジア市場は続落を受けて、トランプ大統領は「何かを治すには、時には薬が必要だ」と言っています。
この発言の通りであれば、衝撃的な相互関税により、株価が下落する事は、トランプ政権にとっては、ある程度想定済みとも思えます。
しかし、現実には予期せぬ市場の変化が生まれました。株価が下がれば、債券が買われるというシナリオが逆にアメリカ国債(特に10年、30年)が売られ、金利が上がり、ドルも信認を失い大きく下落しました。
■トランプの相互関税の90日間の停止
特に債権の金利が急速に上がる事は、側近で多額の借り換えが必要なアメリカ国債にとっては、致命的です。
このトランプの相互関税の想定外の反作用を受けて
4月9日、トランプ大統領は、発動した直後の相互関税の上乗せ部分を、一部の国・地域について90日間延期する方針を表明しました。
対象となったのは、関税の報復をせずに米国との交渉を求めている国・地域です。
これ発表を受け、米国株式市場でNYダウは前日比2,962.86ドル高となり、過去最大の上げ幅を記録しました。
また、翌10日の日経平均株価も寄り付きから大幅に上昇し、終値では前日比2,894.97円高となり歴代2位の上げ幅を記録しました。
また、為替では、円相場が1ドル=146円台から147円台での推移となり、前日9日から円安・ドル高が進行しています。
■自由貿易のルールが根底から変わった瞬間
世界1位と2位の経済大国が互いに100%以上の追加関税を掛け合う異例の事態は世界経済に深刻な影響を与えることが予想されます
中国は、相互関税に対しこう言っています。
「もしアメリカが本当に対話と協議で問題を解決したいのであれば、脅しをやめ、平等・尊重・互恵の原則に基づいて中国側と対話すべきだ」と
中国の言っている事は正論に思えます。
これだけの極端な措置は、中国でなくても世界各国の間で“アメリカ離れ”“脱アメリカ”を模索する動きが広がる可能性もあります。
戦後一貫して自由貿易の旗手だったアメリカにはもはや自由貿易のルールは通用せず、世界経済は歴史的な転換点を迎えたと言えます。
まさに自由貿易のルールが根底から変わった瞬間だと思います。
みなさんは、どう考えますか?